週間為替展望(豪ドル/ZAR) 中国関連の話題に警戒

2014年03月01日 00:46

◆豪ドル、指標で上下に振れそうだが方向感は定まらず
◆ZAR円、成長見通し引き下げや追加利上げ観測で不透明さは継続
◆ZAR円、テクニカル的には低下する雲に反発の勢いは失速するか
 
予想レンジ
豪ドル円 89.00-93.00円
南ア・ランド円 9.10-9.70円
 
3月3日週の展望
 豪ドル円は下値警戒感がくすぶる。4日に豪準備銀行(RBA)理事会、5日に10-12月期国内総生産(GDP)、6日には貿易統計・小売売上高と重要指標が続く。GDPに関しては、これまでの緩和策や通貨高の修正から成長加速が期待される。経済のもち直しが確認されれば、追加緩和観測がさらに後退し豪ドルの底堅さが増しそうだ。しかし、RBAは次の金融政策変更までは時間が必要と、今後の経済指標を見極める姿勢を明らかにしており、単発の指標から中長期的な豪ドルの方向性を推し量るのは難しい状況である。豪ドル円は直近数週間の値幅での推移がメインシナリオとなる。ただし、7日の米雇用統計、8日の中国貿易統計と豪州以外でも注目指標が続くため、これらの結果によっては豪ドルの振幅が大きくなることも予想される。
 
 市場は、悪天候が米雇用統計に反映されることをすでに織り込んでいるが、低調な結果なら素直にリスク回避の流れが強まる可能性がある。中国に関しては、不動産向け融資の引き締め強化や人民元相場の下落から、経済指標に表されるよりも実体経済の悪化が意識されやすい。結果によっては景気に対する不透明感が増し、豪ドルを圧迫する展開も考えられる。さらに、来週も理財商品の償還が予定されているため、再びデフォルトをめぐる話題に左右されることもありうる。豪ドル円がレンジを広げる展開があるとすれば、上よりも下向きになる可能性が高い。テクニカル的には、目先で切り下がる日足一目均衡表の雲が豪ドル円の抵抗力を小さくしそうだが、低下中の90日移動平均線が引き続き抵抗帯となり、上値は抑えられやすいだろう。
 
 ランド(ZAR)円は上値の重い展開。南ア10-12月期GDPは前期比年率換算で+3.8%と、コンセンサスの+3.4%を上回り、昨年末に南アの成長が加速したことを示唆した。ただ、これはストライキが少なく製造業の生産が順調だったことが原因で通常時に戻ったにすぎない。今年に入ってからのストライキや利上げを考慮すれば、今後も成長が維持されるかどうか疑問である。南ア政府が今年の成長率見通しを従来の+3%から+2.7%へ引き下げたほか、追加利上げ観測がくすぶっていることも、この不安を増幅させる。来週は、2カ月連続で景気拡大・縮小の分岐点を下回っているカギソPMI、3カ月連続で低下しているHSBCのPMIが発表される。これまでの傾向通りなら、ZARの上値が重くなる可能性が高い。テクニカル的にも、9.74円付近から低下する日足一目均衡表の雲が上値を抑えそうで、ZAR円の反発の余地は限られるだろう。
 
2月24日週の回顧
 22-23日開催のG20で、5年で世界経済の成長率を2%底上げするとの内容で合意されたことが好感され、豪ドル円は92円後半まで上昇幅を広げた。しかし、中国人民元の急落に伴う中国経済への不安から売りが強まり、90円台まで反落し週初の上昇幅をすべて失った。ZAR円は9.57円台までの戻りを試した後に、南ア政府の成長見通し引き下げが重しになり9.38円台へ押し戻された。