週間為替展望(ポンド/加ドル) ポンド高基調は続くか
2014年03月01日 00:56
◆英国、他の先進国との金融政策スタンスの違いは鮮明
◆ポンドドル、引き続き1.70ドル大台を目指す動きを想定
◆BOC、ハト派寄りの姿勢からの変化は期待できない
予想レンジ
ポンド円 166.00-174.00円
加ドル円 90.00-94.00円
3月3日週の展望
英10-12月期国内総生産(GDP)改定値は、前期比で速報値と変わらずの+0.7%となり、前年比で速報値をやや下回る+2.7%となった。2013年通年では+1.8%となり、前年の+0.3%を大きく上回り2007年以来の高い水準となった。英経済の回復基調の強さを示した格好である。キャメロン首相は英領北海油田の生産量拡大に向けて一連の措置を打ち出した。生産量が低下している北海油田の残存資源を最大限に開発することで、2000億ポンド以上の経済効果が見込まれるという。北海油田の開発拠点アバディーンを抱えるスコットランドでは、9月18日に独立の是非を問う住民投票が予定されており、北海油田の行方が最大の争点の一つとなっている。今週は2月PMIやイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会(MPC)の政策発表が予定されている。
BOEのカーニー総裁を始め、マイルズ氏やデール氏などのMPC委員は、「現段階で利上げを急ぐ状況ではない」との見解を示すなど、利上げを急ぎたくないBOEの方針を強調する発言を続けている。MPCは、賃金上昇による消費の持続的な拡大と投資の回復を望んでいる。この数カ月の賃金上昇率はやや持ち直しているが、税金と物価上昇を考慮すると過去4年間の実質平均賃金は下方トレンドが続いている。賃金が上昇し、物価圧力が強まれば、2015年前半に予想されるBOEの利上げを前倒しする必要があろう。ウィールMPC委員も、賃金上昇が急速ならBOEは直ちに利上げする必要があるとの見解を示している。英国の景気と金融政策見通しは、他の先進国との違いが際立つ格好となっており、足もとでのポンド高基調は続きそうだ。
市場予想を上回る加1月消費者物価指数(CPI)を背景に加ドルは下げ渋ったが、反発の勢いは感じられない。加1月CPIは前年比+1.5%と、2012年6月以来の高水準となった。カナダ中銀(BOC)が以前、「利下げの可能性が従来よりも若干高まっている」とハト派姿勢を強めたのは、ディスインフレ傾向が背景にある。CPIの上昇を受けたBOC声明に注目したいところだが、低調な経済指標が続いているため、BOCのハト派寄り姿勢に大きな変化は期待できないか。12月卸売売上高は前月比-1.4%、同小売売上高は同-1.8%と、それぞれ昨年6月、2012年12月以来の大幅な下げとなった。今週は、BOC会合以外にも、雇用指標や貿易収支など注目指標の発表が多く予定されている。
2月24日週の回顧
英1月小売売上高が予想以上に落ち込んだことを背景に、ポンド高は一服。ただし、大幅に増加した12月分の反動減との見方が多く、ポンドの下押しは限定的で、ポンドドルは1.66ドルの大台を維持した。加ドルはCPIのディスインフレ傾向が後退したことを背景に下げ渋るも反発は限定的で、ドル/加ドルでの加ドルの買い戻しは1.10加ドル後半にとどまった。対円では、ウクライナ懸念でリスク回避の円買いが強まり、ポンド円は169円付近、加ドル円は91円前半に下落