週間為替展望(ドル/ユーロ) ECB、緩和見送りの公算も
2014年03月01日 00:44


◆米失業率が低下すれば、否応なしに市場のボラティリティ拡大へ
◆ドル円、三角保ち合いも上抜けからトレンド形成できるか見極め
◆ECB、FOMC待ちと域内の回復傾向を背景に追加緩和を見送る公算も
予想レンジ
ドル円 100.00-104.50円
ユーロドル 1.3450-1.3850ドル
3月3日週の展望
ドル円は米国で弱い経済指標が発表されているため、ドルの重い地合いに上値を抑えられている。一方、日銀に対する根強い追加緩和期待や日米金融政策の方向性の違いが意識されて、下値は買い支えられるという一進一退の展開が継続している。3月7日の米雇用統計の結果を踏まえて、来月半ばの米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて思惑を高めるまでは、当面足元のレンジでもみ合いが続く可能性がある。米雇用統計では雇用者数の増加幅のみならず、6.6%まで低下している失業率もこれまで以上に注目される。仮に利上げの目安となる6.5%まで低下すれば、景気・物価情勢を総合的に点検して引き締めを開始させる姿勢が織り込まれていても、否が応でも市場のボラティリティを高めることになると思われる。ドル円は2月4日の安値100.76円を起点に下値を切り上げている。直近の高値水準となる102円後半とで形成された三角保ち合いの上抜けから足元のレンジを脱却してトレンドを形成できるかどうか注目される。
6日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。先月の会合前に話題となった不胎化オペの停止や政策金利自体の小幅な引き下げ、マイナス預金金利の導入など、あらゆる手段が検討・実施の対象であるとの認識が繰り返されていることから、インフレ見通しの修正とあわせて何らかの緩和策が発表される可能性が高い。伊中銀総裁はマイナス預金金利の導入に関し、2012年から実施しているデンマークの例を上げて政策としての有効性を示したこともあり思惑が高まっている。ただ、市場間取引や金融機関の収益に及ぼす影響は推測が難しく、実際には局所的であれリスクが伴うことも事実であろう。
底堅い景況感を背景に域内主要国の成長率がプラス圏を回復させ、ほぼすべての加盟国で経常収支が改善している状況下では、緩和方向への舵取りを見送ることも考えられる。最近は新興国懸念もさほど大きな話題にならず世界的に株価は堅調地合いを取り戻しつつある。ユーロ圏1月消費者物価指数(HICP)改定値は前月比ベースで過去最大の落ち込みとなった。しかし、これはエネルギー価格の下振れが影響しており翌月の反動が見込まれるほか、前年比ベースでは0.1ポイント上方修正された。悲観的なムードが後退しつつあるため、来月の米FOMC次第では市場全体のセンチメントが大きく変わる可能性もあり、ECBが現状維持を選択する公算も少なくない。どちらにせよ、ユーロにとっては今年1番の注目材料となろう。
2月24日週の回顧
ドル円は102円台を中心に小幅上下。過度な新興国への懸念が後退して株価が持ち直したため下値は固く、ドルの重い推移が上値を圧迫。寒波の影響を受けた弱めの米指標が並び、当局から相次いでテーパリング継続を支持する発言が聞かれたがポジティブな反応は限定的であった。ユーロドルも翌週のECB理事会を前にマイナス金利導入や追加緩和に前向きな姿勢が示されたことが上値を抑制。ウクライナの政情不安も心理的にユーロ買いを手控えさせた。対円では140円台を中心にレンジ推移。
