週間為替展望(ドル/ユーロ) ユーロに底堅さ、ドル買いはまだ
2014年02月22日 01:23
◆日銀の行動に市場は安心感、成長・インフレ懸念あれば緩和期待高める格好に
◆3月以降の米経済指標を見極めへ、リスク選好に舵を切るのは時期尚早か
◆ユーロドルに上値拡大の余地、ドル安も背景に底堅さ続く公算も
(国際金融情報部・堀之内智)
予想レンジ
ドル円 100.00-104.00円
ユーロドル 1.3500-1.3900ドル
2月24日週の展望
日銀はマネタリーベースの増額幅をこれまでの水準で据え置く一方、量的・質的金融緩和のもう1本の柱となる貸出支援基金の拡充を決定した。期限切れが迫っていた同制度の期間延長や規模増額はさほど大きなサプライズではない。「貸出金利を『4年固定0.1%』と明記し短期金利へコミットした」(外資系証券筋)との見方もあるが、昨年末時点の貸出実績(8.4兆円、ドル特則分を含め9.2兆円)は日銀の想定(13兆円)を下回っている。実体経済への波及効果は限定的ではないか。日銀発表後の株価急騰を伴った円売りは短時間で終えんしており、トレンドは形成できなかった。ただ、「想定された内容だが、日銀が物価目標達成に向けて節目・節目で行動していることは市場に安心感を与えている」(国内証券筋)との見方もあり、ドル円やユーロ円の下値をサポートしそう。先立って発表された10-12月期国内総生産(GDP)は予想を大きく下回った。2次速報で多少の上方修正があっても、日銀が想定する成長率には届かない見込み。だが、インフレや成長の下振れリスクが今後台頭した時に、日銀が追加緩和を実施するとの見方を強めたことは間違いないだろう。
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の文言修正は全体的には小幅なものにとどまった。テーパリング停止のハードルが依然として高いとの見方がコンセンサスとなっており、政策金利に関するガイダンス変更の可能性が示されたことで市場はややタカ派寄りと受け取った。寒波の影響を割り引いて考える必要はあるが、足元の米国はさえない経済指標が多い。景況感の伸び悩みも気掛かりである。米経済の持続的な成長を確認するためには3月以降に順次発表される今後の経済指標の検証が必要であり、本格的にリスク選好へ舵を切るにはしばらく時間がかかりそうだ。ドル円は引き続き短期トレードを主体にトレンドが形成されるのを待ちたい。
ユーロドルは年明け早々につけた高値に迫る1.37ドル後半まで上昇。ドル安といった外的要因もあり、テクニカル的にも上値余地が拡大する格好となった。昨年11月や12月に伸び悩んだ1.38ドルの抵抗帯を上抜ければ、2013年高値1.3894ドルも視野入りしよう。伊や仏の政局混乱もユーロ圏全体のリスク要因としては捉えられていない。2月PMIは改善傾向がやや鈍化し、24日発表のIfo景況感指数の先行指標であるZEWは、先行き景気への楽観度が低下した。ただし現況指数は改善しており足元の景気腰折れ懸念は小さい。28日のユーロ圏2月消費者物価指数の結果次第では欧州中央銀行(ECB)の追加緩和への期待も高まりそうだが、米国と比較したファンダメンタルズの弱さが再確認されるまでは、ドル安トレンドも背景にユーロドルは底堅さを維持する公算は小さくないか。
2月17日週の回顧
ドル円は102円台を中心とした振幅。日銀会合やFOMC議事録後に短期的な動きはあったが、弱い米指標が続くなかでドルが軟調に推移し方向感を限定的にした。ユーロドルはドル安のなかで年初の高値に接近。ユーロ円はユーロ高と円の上下に影響を受けながら139-141円をコアレンジに推移。