見通し(東京市場 為替) ウクライナ東部で住民投票強行、警戒感続く

2014年05月12日 08:01

先週末のNY市場では、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の口先介入以降のユーロ売りが継続した。NYクローズ間際に格付け会社ムーディーズが、ポルトガルをBA2に格上げしたうえで一段の格上げもあるとしたが、市場参加者はほぼ不在で反応は見られなかった。ユーロドルは1.3745ドル、ポンドドルは1.6832ドルまで下落。利益確定のドル買い戻しを交えて下げ幅を広げた。対主要通貨のドル高に連動し、豪ドル/ドルは0.9347ドル、NZドル/ドルは0.8604ドルまで安値を塗り替えた。ドル/加ドルは弱い加雇用統計もあって、1.0916加ドルまでドル高・加ドル安推移。ドル円は101円後半で小動き。101.86円まで水準を切り上げる場面はあったが、ウクライナ情勢が警戒されるため上値には慎重だった。
 先週のドル円は101円後半を中心に102円前半では上値が重い動きとなった。米4月雇用統計で失業率や非農業部門雇用者数は大きく改善したが、労働参加率の低迷と長期失業率の高止まりなどで、ドル円は上方向へレンジを広げることができなかったことから、引き続き上値の重い動きが続いている。また、イエレンFRB議長が低インフレ率の懸念などを背景に金融緩和の長期化を示唆したことや、日銀の追加緩和への思惑が後退していることもドル円の重し。11日にウクライナ東部2州で住民投票が強行され、親露派勢力が「独立賛成」の結果を発表する可能性が高くなり、ウクライナ情勢の混迷化に拍車をかけそうだ。ロシア軍による軍事介入や、内戦勃発の可能性が残されており、警戒感は続く。本日の東京タイムでは本邦国際収支の発表が予定されているが、相場への影響は限られるだろう。ドル円は引き続き102円前半では上値が重くなりそうだ。