東京為替 豪ドル下落、その他は全般に円安傾向も午後には落ち着く

2014年01月16日 15:02

16日の東京市場は、豪ドルが下落した。日本時間9時半に発表された12月の豪雇用統計が弱かったことで豪ドル売りが殺到した。雇用者数が1万人増と予想されていたが、結果は2.26万人減。正規雇用者の減少が目立った。これを受けて豪ドル円は93円を割り込むと92.15近辺まで急落。豪ドル/ドルは0.89割れ水準から一気に0.88割れまで下落した。その後の戻りは鈍く、安値圏で揉み合っている。市場筋によると、中国沿岸部の工業が例年より早めに春節の休業に入るとの見方もあり、今後の中国PMIが下振れすることが警戒されているという。
 
その他主要通貨は全般に円安傾向がみられた。午前は、昨日の海外市場で米欧株が上昇したことを受けてリスク選好ムードが広がった。日経平均は小高く始まると一時100円超高へと上げ幅を拡大した。ドル円は104.50-60レベルから104.92レベルまで上昇。ユーロ円は142.20近辺から142.87レベルまで上昇。それぞれ前日高値を上回った。ただ、午後に入り日経平均が下げに転じると、円安も一服している。ドル円は104.60台、ユーロ円は142.50近辺へと水準を下げている。ただ、早朝からの円安水準は維持されている。
 
ユーロドルは1.3580台へと小安い動きのあと、豪ドル売り・ユーロ買いフローの影響で1.3620近辺まで反発した。ポンドも同様に堅調だが、対ユーロではやや売られている。朝方発表された12月英RICS住宅価格は56%と前回の58%に届かなかった。アジア株は小動きとなっているが、概ねプラス圏で推移している。
 
この日は日銀支店長会議が開催されている。冒頭のあいさつで黒田日銀総裁は、消費者物価前年比は上昇品目の広がり伴いながらプラス幅を拡大、先行きも当面プラス幅を拡大する、と述べている。日本経済は2%物価目標の実現に向けた道筋を順調にたどっている、と前向きの見解だった。朝方発表された2013年の国内企業物価は前年比+1.3%と2年ぶりのプラスだった。11月機械受注は前月比+9.3%の8826億円と予想以上に伸びており、5年ぶりの高水準だった。内閣府は機械受注の判断を「増加傾向にある」に上方修正した。午後に発表された日銀地域経済報告では、全9地域が景気は「回復」と表現しており、公表開始以降で初めてだった。また、先週末の米雇用統計を通過し、通貨オプションのボラティリティーが低下している。この傾向が定着すれば日米金利差見通しを背景に「円キャリー取引」が復活するとの声も上がり始めたようだ。