東京市場 午前 株高でも円売り入らず、豪GDP上振れで豪ドル高

2014年03月05日 11:48

東京タイム午前は豪ドルが上昇。豪10-12月期GDPが、前期比・前年比ともに市場予想を上回ったことが好感された。対ドルは一時0.8997ドル、対円は91.94円まで発表後に上振れたほか、対NZドルや対ユーロでも豪ドル買いが確認された。豪GDPは前期比で+0.8%(予想+0.7%)、前期比で+2.8%(同+2.5%)と堅調な結果に。豪ドル安を通じて豪州経済のリバランスが促進されているとした豪準備銀行(RBA)の見通しを裏付ける結果だった。ただ、前日のRBA声明からは通貨安誘導を維持するスタンスが確認されていたため、上振れ後はGDP発表直前の水準まで押し戻された。
 豪ドル円を除くクロス円やドル円の動意は限定的。ウクライナ情勢の緊張感が緩和した前日来の流れは本邦の株式・債券市場へ引き継がれたが、円を売る動きはみられなかった。むしろ、海外市場ですでに円安が進んでいたため、日経平均が15000円の大台回復を目前にするなかでドル円は小幅ながら102.12円まで調整に押された。ユーロ円は140.26円、ポンド円は170.20円、NZドル円は85.57円まで、重さを感じさせながら緩やかに水準を下げた。
 中国では全国人民代表大会(全人代)が開幕し、李・首相が政府活動報告のなかで2014年の成長率目標を7.5%、CPI上昇率目標を3.5%に設定したことを明らかにした。また、人民元レートの安定的維持と変動許容幅を双方向に拡大する方針も示唆されたが為替への動意は限られた。中国2月HSBCサービス業PMIは51.0となり、前月の50.7から若干改善。ユーロドルは1.37ドル半ば、ポンドドルは1.66ドル半ば、NZドル/ドルは0.83ドル後半を中心に、対豪ドルでの下落やクロス円の調整含みの重い動きに圧迫されながらももみ合って推移した。
 午後も株式市場で一層の動意が確認されなければ全体的に値動きは小幅な状態が続きそうだ。ウクライナ情勢の緊張感緩和にともなうリスク回避の巻き戻しは小休止している。ロシア株式市場や自国通貨の急落を受け、先進国との対立が経済制裁やデフォルトの危機を引き起こすとの経済的な思惑もロシア側の強硬姿勢を和らげたとの見方があるなか、性急な軍事衝突の可能性は後退しており、ドル円やクロス円の下値は限定的となりそう。ただ、米雇用統計の前哨戦となるADP全国雇用者数の発表を皮切りに、本日からは海外市場でイベントが目白押しであるため手控え感が強まることは否めないだろう。