東京市場 午前 円が荒っぽい上下、ドル円下落でドル売りも強まる

2013年08月15日 12:03

 東京タイム午前は、本邦の株安を見越して朝方に円買が買われた。その動きが終了するといったん反転したが、その後は再び円買いが勢いを取り戻すなど荒っぽさが目立つ展開だった。また、流動性に乏しい相場環境が継続するなか、前日の米生産者物価指数のさえない結果が市場心理を落ち着かせたこともあり、NYタイムからのドル修正安が引き継がれた。米量的緩和(QE)ペースが9月に縮小されるとの見方はほぼ固まりつつあるが、来月初めの米雇用統計までは、足元の米経済指標に一喜一憂する展開が続くと思われる。最終的なドル円の下落も作用し、珍しく東京タイムでドルをターゲットにした動きも見られた。
 円は序盤に本邦株式の安寄り予想も背景に買い戻しが先行。ドル円は前日安値をあっさりと割り込み97.77円まで下落。クロス円にも調整が強まり、ユーロ円は129.66円、ポンド円は151.64円、豪ドル円は89.29円、NZドル円は78.60円、加ドル円は94.59円まで下押した。その後、前日比で200円程度下落して始まった日経平均が下げ幅を縮小させると、株安を織り込みながら調整していたドル円・クロス円は反発し、ドル円は仲値通過後の下押し懸念も杞憂に終わり98.30円まで反発。ユーロ円は130.37円、ポンド円は152.50円、豪ドル円は90.00円、NZドル円は79.13円、加ドル円は95.15円まで買い進まれた。ただ、菅官房長官や麻生財務相が立て続けに、法人税の実効税率引き下げに関して首相から指示があった事実はないと述べたことで、ドル円は朝方の安値を塗り替えて97.66円まで急落。クロス円も対ドルの上昇が下値を支えたが、総じて上げ幅を削って上値が重くなった。
 ユーロドルはドル高修正とドル円の下落を受けて1.3311ドルまで上昇。値動きが軽いところで、前日高値1.3281ドルを上回った水準のストップロスの買いを巻き込んだことも上げ幅拡大に寄与した。ポンドドルも1.5545ドルまで上昇。資源国通貨は序盤から堅調さが目立ち、豪ドル/ドルは0.9184ドル、NZドル/ドルは0.8078ドル、ドル/加ドルは1.0314加ドルまで対ドルで強含んだ。NZドルは、企業景況感(PMI)が前月から改善していたことも好感された。
 午前は円相場の上下に加えてドル安も目立つ展開となった。ただ、ドルの動きはあくまでも調整の範囲に留まっており、NYタイムに発表される複数の米経済指標の結果を見極めたいとの思いから、徐々に値動きを細めていくことが予想される。となれば、やはり日経平均の動向を手掛かりに、ドル円・クロス円が動意を強めていく公算が高い。その日経平均は下げ幅を広げて午前の取引を終えており、週初の円売りをけん引した、法人税率引き下げに関する話題が閣僚によって否定されたことで、ドル円・クロス円のリスクは明らかに下向きだろう。