東京市場 午前 リスク回避パターンの円買い ウクライナ情勢を懸念

2014年03月03日 12:35

東京タイム午前は円が全面高。週末にロシア上院がウクライナへの軍事介入を承認したことで、オセアニア早朝からリスク回避姿勢が優勢となった。露軍の部隊6000人がクリミアを完全に掌握したとの報道が伝わるなか、軍事行動への警戒が高まり円買い優勢に。米露首脳による電話会談ではオバマ米大統領がプーチン露首相を激しく非難し、ケリー米国務長官は4日にウクライナの首都キエフを訪問することが明らかになっている。オバマ大統領は各国の首脳と個別会談を実施し、米ホワイトハウスがG7共同声明を発表。ロシアの行動がウクライナの主権侵害にあたるとし、6月にソチで開催が予定されているG8の準備中止を明らかにした。先進国とロシアの対立が明確になるなか、週末に中国で新疆ウイグル自治区の独立派によるテロが伝わり、さらに北朝鮮がミサイル2発を発射したと韓国筋が報じるなど極東・アジアの地政学的リスクが意識され、ドル円は先週末安値をすんなり割り込んで2月6日以来の安値となる101.26円まで下落。ユーロ円は139.36円、ポンド円は169.35円、豪ドル円は90.06円、NZドル円は84.53円、加ドル円は91.43円まで下値を拡大した。日経平均は14500円を割り込んで一時400円近く下落し、米長期金利は2.6%の大台を割り込むなど関連市場でもリスクオフムードが支配的となった。ただ、一定の株安や金利低下は織り込んでいたことで円高の加速は免れると、ドル円・クロス円は株価の持ち直しを背景に下げ渋った。なお、この日発表された中国2月非製造業PMIや同HSBC製造業PMI・改定値は、ウクライナ情勢への注目度の高まりもあってあまり材料視されていない。非製造業PMIは55.0と前月も53.4から改善。HSBC製造業PMI・改定値は48.5と市場予想と一致した。
 対ドルはクロス円の下落が重しとなって上値が重かったが、円相場主導の展開のなかで値動きは限定的。ユーロドルは朝方の1.3754ドルを安値に1.37ドル後半で振れ幅。ポンドドルは1.67ドル前半への下押しから水準を戻したほか、豪ドル/ドルは0.89ドル前後、NZドル/ドルは0.83ドル半ばでもみ合った。
 ウクライナをめぐるロシアの行動に対する懸念が巻き戻されれば、株価の反発をともなってドル円・クロス円は下押しから水準を回復させる可能性はありそう。中国PMIが警戒されていたような下振れもなく着地したことで、中国株はプラス圏を回復させるなど底堅さを示しており、午後になって円買いが再び勢いを取り戻すこともイメージしにくい。ただ、欧米で今週は多くの指標発表やイベントが控えているため積極的な取引も望みにくいだろう。
 
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