【週間為替見通し】(ドル/ユーロ) ECB、追加緩和実施の声も
2014年02月01日 03:46
◆新興国はショックを徐々に吸収へ、先進国への影響は限定的
◆目先は米雇用統計に注目、今月もデータにぶれが生じる可能性
◆ECBが追加緩和実施との見方も、結果発表後にユーロは動くか
(国際金融情報部・堀之内智)
予想レンジ
ドル円 101.00-104.50円
ユーロドル 1.3400-1.3750ドル
2月3日週の展望
米連邦公開市場委員会(FOMC)では月額の債券購入枠が計100億ドル減額された。悪天候の影響もあって昨年末は景気がやや下押ししたが、全体的な景気判断は上方修正された。粛々と量的緩和策(QE)の縮小が進められており、年内にQEが終了するとの見方が現実味を帯びてきた。皮肉にも新興国懸念が再燃したことで、米長期金利はQE縮小が決定されても昨年11月以来の水準まで低下。2年債利回りも0.4%付近で推移しており金利の上昇圧力は抑制されている。目先はイエレン新米連邦準備理事会(FRB)議長がFOMCでコンセンサスを形成できるかどうかに焦点が移行しそうだ。
今回のFOMCで大きな影響を受けたのは新興国である。トルコや南アフリカ、インドは利上げで通貨安を防ごうとしたが、歯止めがかかったのは一瞬であった。QEが今後段階的に縮小されるならば、新興国からの資金流出懸念が折を見て台頭することがあるかもしれない。しかし、まさに段階的にQEが縮小されることで新興国がショックを吸収しやすくなることも予想される。先進国への影響は限定的となろう。ドル円は日米の株価回復を待って緩やかに円安・ドル高方向に回帰すると思われる。もっとも、目先は7日の米1月雇用統計が注目イベントとなることから、3日の1月ISM製造業景況指数の雇用指数や、5日のADP全国雇用者数が重要になろう。寒波が続いたことで1月分の雇用統計に大きなブレが生じる可能性がある。前月分が大きく修正されることもありうるため、警戒したい。
6日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。1月の域内の景況感は概ね改善し、2014年は幸先の良い幕開けとなった。今週の会合では強化されたガイダンスの内容を改めて強調する格好で金融政策の現状維持が決定されると予想する。もっとも、12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)はコアで前年比+0.7%と過去最低を記録。昨年11月の会合で利下げされる根拠となった水準を下回ったことで、一部の金融機関は3月までに0.15%前後の利下げを予想している。政策金利の上限となる限界貸出金利や下限となる中銀預金金利の引き下げを見込む声も聞かれた。預金金利をマイナス圏に下げ、貸出金利との差(コリドー)を縮小させて短期市場金利の上昇圧力を緩和させる可能性もわずかだが考えられる。31日に発表される1月の速報値によってはこうした思惑が一層強まりやすい。追加緩和の可能性が意識されることで、ユーロは政策発表後に大きく動く展開が想定される。
1月27日週の回顧
新興国の大幅な通貨下落を受けて市場のリスク回避ムードが強まった。ドル円は101円台まで下落が先行。各国中銀の利上げを受けていったん警戒感は薄れたが、かえって経済成長を阻害するとの懸念が高まりドル円の回復力は鈍くなった。FOMCではQE縮小が決定されたがほぼ織り込み済み。各通貨は小幅な動きで推移した。ユーロは域内の景況感の改善が加速したが、上値は限定的。ディスインフレが警戒されるなかで月末に向けたリバランスが入り対ドルでは1.35ドル半ばまで失速した。ユーロ円はリスク回避の円買いとユーロ安のなかで一時138円台まで下落した