【週間為替展望】豪ドル/ZAR 豪ドル、雇用統計の結果を注視
2014年03月08日 02:26


◆豪ドル、豪経済に対する前向きな指標で底堅さが増す
◆南ア、経済の改善期待はあるが不安材料も残る
◆ZAR円、買い戻し先行も上値は限られるか
(国際金融情報部・小野直人)
予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 9.20-10.00円
3月10日週の展望
政策金利が市場予想通り2.50%に据え置かれた4日の豪準備銀行(RBA)理事会声明では、「安定期間を設けることが賢明な判断」と金利水準をしばらく維持する姿勢が改めて表明された。「低金利と通貨下落に支えられて次第に成長は加速する」と経済に対する前向きな見通しも示された。翌日に発表された10-12月期国内総生産(GDP)は前期比で+0.8%と7-9月期から成長が加速。貿易・小売指標も好調となり、中銀の見解を裏付ける結果が続いている。そのため、追加緩和観測は大きく後退し、逆に来年初めの利上げを織り込む動きも出始めている。RBAは中国経済に対しても悲観しておらず豪ドルを支える材料が増えつつある。
しかし声明文では「賃金上昇の伸びは著しく鈍化」、失業率については「目先、悪化する」と指摘。通貨に関しても「依然として割高」と水準に対する不満がまだ残っていることを暗示させた。よりバランスのとれた成長のためには、もう一段の調整を促しているともとれる。よって、豪ドルの調整が今後進まないとの見方は危険だろう。来週の豪ドル円は、13日の豪2月雇用統計を中心に上下動しそうだが、雇用情勢の悪化は既に織り込まれている。結果が上ブレして豪ドル円の買い戻しが進む方が値動きが大きくなるかもしれない。
ランド(ZAR)円は買い戻し先行も上値は限られるか。南アの2月カギソ製造業PMIは、3カ月ぶりに景気判断の分かれ目である50を回復。HSBC算出のPMIも4カ月ぶりに前月を上回るなど、同国経済に対する期待感はもち直しつつある。ただし、カギソPMIの内訳を見ると、新規受注は増加しているものの、雇用指数は低調な結果が続くなどヘッドラインほど強い内容とはいえない。利上げや高い電気料金が家計を圧迫し消費の鈍化懸念がくすぶっていることも不安材料となる。その上、欧州経済の回復とは対照的に中国経済がさえないなど世界経済が一様ではないため、南ア経済は抑制される状態が続くだろう。テクニカル的には、日足一目均衡表・雲の上限や90日移動平均線の抵抗帯を上回ったことから、目先は戻りを試す流れが先行しそうだ。しかし、経済に対する不安な点がある中で、週足一目・雲の下限が位置する10.00円付近では上昇の勢いが緩みそうだ。
3月3日週の回顧
混乱が続くウクライナにロシアが軍事介入したことを受けて、週明けはリスク回避の円買いが先行。豪ドル円は90円付近、ZAR円は9.27円台まで下落した。ただ、ロシアのプーチン大統領が軍事演習中の軍に対して基地への帰還命令を出したことで地政学リスクが後退したことから、円買いは一服。豪ドル円は、政策金利が2.50%で据え置かれたRBA声明での経済に対する前向きな見方や、相次ぐ強い経済指標を受けて93円後半まで反発。ZAR円も9.70円台まで戻した。中国全人代で今年の成長目標が7.5%と前年とほぼ同じ水準に設定され、中国経済に対する不安感が幾分和らいだことが下支えとなった。

