【視点】4月緩和の可能性やや低下もドル円は115円へ

2014年01月22日 19:29

第一生命経済研究所 経済調査部 副主任エコノミスト 藤代宏一氏
 
日銀の追加緩和が無くとも、年末までにドル円は115円に到達
 
 日本MPM(金融政策決定会合)では大方の予想どおり金融政策の現状維持が決定された。景気判断は数箇所で修正が施されたが何れも軽微。物価とGDP見通しの修正もごく軽微で従来の(強気な)日銀見通しを踏襲した。一方、やや変化がみられたのがリスク要因。「日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい」との文言が削除され、海外経済への警戒をやや後退させた格好になる。また、今月もリスク要因に「消費税」は加わらなかった。相変わらず日銀は景気の先行きに強い自信を持っており、日銀が自らの意思で積極的に追加緩和を検討している様子は現段階で窺えない。①消費税率引上げの影響が想定以上になる、②急激な円高・株安が進行する③政治的圧力が高まる、これらに備えて“弾”を温存する戦略を採用したのかもしれない。
 直近の総裁・審議委員の発言及び今回の声明文を踏まえると4月緩和の可能性はやや低下したと言える。だが、市場にとって重要なのは追加緩和の有無よりも円安が進むか否かだ。筆者は、たとえ日銀の追加緩和が無くとも、年末までにドル円が115円に到達するとの見方を維持する。日銀の追加緩和は飽くまで一時的な“円安促進剤”程度の役割で、それが無くても米経済の回復期待が揺るがない限り円の先安感は消失しないと考えられるからだ。日銀が「出口」をほのめかせば話は別だが、それは今年のテーマではない。