【視点】 ECBは緩和見送りへ 総裁の舌先三寸を楽しむ会合
2014年03月06日 17:37

みずほ証券・投資情報部 チーフFXストラテジスト 鈴木健吾氏
ECBは緩和見送りへ 総裁の舌先三寸を楽しむ会合
欧州中央銀行(ECB)は本日の理事会では具体的な行動を見送るだろう。ECBは昨年の11月に政策金利を米国と同水準となる0.25%に引き下げており、日本も0.1%と完全なゼロ金利導入を回避しているなか、金利操作による伝統的金融政策から非伝統的金融政策への移行時期を迎えて頭を悩ませている。政策金利の面でほぼ身動きが取れないなかでいくつかの手段は考えられるが、日米のように国債を購入する量的緩和は、ユーロ圏では対象国の選別の問題もあり実施が困難。マイナス預金金利の導入は2012年に同政策を実施したデンマークで、市中銀行が中銀への預金にかかる損失を補填するため、顧客への貸出金利を引き上げたために却って市中金利が上昇して引き締めのような状況に陥った状況も考えると、影響が図りかねないことから消極的になるだろう。LTRO(長期供給オペ)は金融機関救済の側面が強く、ストレステストの結果を踏まえて実施するといった段階的なステップが見込まれ今回は難しい。証券市場プログラム(SMP)の不胎化停止も前回の会合で議論されていなかったことから実施には懐疑的だ。いくつかの選択肢はあるが決定的な効果を生むものもなく、先週のユーロ圏消費者物価指数が若干ながら改善したことで追加緩和圧力もそれほど強くない状況であることから、所謂「ドラギマジック」と言われる舌先三寸で緩和への含みを残しながら現状維持が決定されると予想する。総裁の会見内容を楽しむ会合になるのではないか。

