【視点】 豪ドルは強弱混在、短期的には中国リスクに警戒
2014年02月14日 15:39
三井住友銀行・エマージングマーケッツトレーディンググループ グループ長 呉田真二氏
豪ドルは短期的には強弱混在で方向感が見定めづらいのではないか。材料的には先日の豪雇用統計の弱さや、トヨタ自動車が2017年に豪州からコスト高などを理由に生産の撤退を表明したことなどがネガティブ要因として挙げられる。一方で豪準備銀行(RBA)金融政策で成長やインフレ見通しがかなり強気に上方修正されたことや、中国に対する楽観的な見通しが豪ドルのサポート要因になっていると思われる。
波乱要因としては中国で理財商品に絡んだ報道が再び話題になってきており、目先的にある程度豪ドルに影響を与えるかもしれない。個人的には中国当局がこうした問題をマネージできると思っているが、混乱をどのように凌いでいくかが先行きを占う上でのポイントになりそう。いくつかの理財商品のデフォルトを容認する一方、インターバンクの金利上昇などをコントロールしていく姿勢が確認できるのではないか。最終的には落ち着きを取り戻していくであろうが、短期的にはヘッドラインを受けて緊張が高まる場面も予想される。
豪ドルの水準に関しては、RBAの声明から通貨高に対する懸念が排除されたことで下値に一定の安心感も生じている。ただし憶測ではあるが、シドニーで来週末に開催されるG20に向け、対外的な配慮もいく分あったと考えられる。今後、豪ドル/ドルが0.91ドルを越えていくような局面では警戒感が生じてくるというのが市場参加者のなかにイメージとしてありそう。目先のコアレンジは0.88ドルから0.91ドル前後と予想する。