【視点】 米雇用統計による短期的なユーロの見通しを考察

2014年03月07日 17:30

IG証券 マーケットアナリスト 石川順一氏
 
米雇用統計による短期的なユーロの見通しを考察
 
 ECBはウクライナ問題や中国の景気情勢、新興国不安の再燃など、ユーロ圏の低インフレ化を招きかねない先行きのリスクも意識して、緩和を見送った可能性が高いと思われる。中長期的には米国との金融政策のコントラストによってユーロドルは下値を試す動きになるだろう。ただ、短期では今晩の米雇用統計の結果次第でさらに上昇する可能性はありそうだ。
 雇用統計に関しては、市場予想を上回る強い結果であれば米国の景気回復期待を背景とした株高・債券安(利回り上昇)のなか、ドル買い圧力が高まってユーロは下落しよう。逆に結果が予想を下回った場合、まずは一時的な米景気失速懸念に伴う債券高(金利低下)と、低金利政策の長期化観測を背景にした株高の動きがパターンの1つとして想定される。その際は金利低下によるドル売りで、ユーロドルは昨年12月高値1.3894ドルの攻略から1.39ドル台乗せを達成。ユーロ円も、株高による円売りも後押しに143円台への一段高がありそうだ。一方、株安・債券高(金利低下)の完全なるリスク回避モードのパターンとなれば、金利低下によるドル安でユーロドルは結局買われることになるが、株安を通じた円高でユーロ円が下落し、ユーロドルの上値を限定的にさせる可能性がある。
 ドル円も株価と金利動向次第。雇用統計の好結果で株高・金利上昇となれば、円安とドル高の両輪で上値を目指すだろう。株高・金利低下の片輪走行になればクロス円の影響を受け、株安・金利低下なら下方向への意識を強めることになるだろう。
 
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