【視点】 米雇用の弱さ乗り切れても債務問題が重なるとドル安

2014年02月05日 21:44

三菱UFJ信託銀行 資金為替部 為替グループ グループマネージャー 市河伸夫氏
 
米雇用統計の弱さ乗り切れても、債務上限問題が重なるとドル円の100円接近も
 
  日経平均株価については、1万4000円前後で値固めして戻っていくステージではないかと思っている。新興国を取り巻く条件が悪く、それに影響を受けそうなのは米国と英国のようだ。英国は新興国向け融資のGDP比率が高く、米国の融資も大きいという。また、米国は寒波の影響も想定以上に続いている。いま最も状況が良いのは日本だろう。昨日は補正予算も通った。失業率も非常に下がっている。日本の株価は現行水準付近から、徐々に戻っていく可能性がある。そうなれば為替相場が円安へと戻っていく後押しになる。
 週末の米雇用統計については、20万人程度の雇用増を見込む米大手金融機関もある。だが、それには違和感がある。1月も寒波の影響を受ける可能性が相当あり、市場の大方の参加者もそれほど期待していないのではないか。悪い可能性もあると思ってみているだろう。ISM(製造業)の雇用指数もさらに落ちていた。雇用増が10万人そこそこという結果も頭に入れておかなければならない。すでに先週から今週にかけて出てきた材料が悪かったので、弱い数字に対し、さらに大きく反応することはないと思う。
 ただ、米債務上限問題が、ひょっとしたら市場にインパクトを与えかねない。ルー米財務長官は、上旬までに決着が見えなければ、2月末まで長引く可能性を指摘していた。2月中旬の期限でしっかりした落としどころにいきつかないと悪影響が出てくる。雇用統計については、12月同様に1月も天候要因で悪い結果になると市場が織り込み始めているかもしれない。米景況の軟調さは、雇用統計が悪くても、いったんそのタイミングで底を打つことも想定できる。しかし追加で債務上限問題の悪影響が重なると、ドル円も100円近くまでのドル安・円高になることがありえる。