【視点】 米不透明感に弱い中国指標も回復シナリオは変わらず

2014年02月20日 18:21

SMBC日興証券 金融市場調査部 シニアマーケットエコノミスト 嶋津洋樹氏
 
米不透明感に中国指標の悪化、懸念は高まるが先進国主導の回復シナリオは変わらず
 
 中国の指標悪化を受け、市場はリスクオフで反応した。ただ、今年は新興国ではなく、先進国主導での景気回復局面。予想比で指標が下ぶれたのはサプライズだったものの、リスクオフをどこまでも引っ張る要因にはならない。
 先進国主導の景気回復がメインシナリオだが、米景気の不透明感が強まっている。天候の影響だと思うが、指標が下ぶれると不安を強める市場参加者が増え、景気の下押しは一時的ではないとの見解を示す人も出てくる。天候以外にも弱い要因があるなら、米主導での回復シナリオは崩れてしまう。それが意識されているのだろう。
 ただ、現実はどこまで天候のせいで、どこからが実体経済の弱まりなのか判断は困難。私は天候によるものと確信しているが証明しづらい。まだ米国の天候は悪そうで、指標が持ち直すにしても4月になって以降の発表分から。それまで下ぶれが続くため、実体経済を懸念する議論は当然のように出てくる。そこに中国の弱い指標が発表されると、さらに警戒感は強まり、リスクオフが進む。こうしたところで実体経済が下ぶれる可能性を指摘すれば確かに話しは展開しやすいかもしれない。
 しかし今年の米主導での回復シナリオは、財政問題の下押し圧力がなくなるという点が根拠。その部分が変わらなければ基本シナリオは変わらないはずだ。