【視点】 日銀への「失望売り」最適戦略にならない
2014年01月23日 20:09
第一生命経済研究所 経済調査部 副主任エコノミスト 藤代宏一氏
4月緩和の可能性は後退、それでも日銀への「失望売り」は最適戦略にはならない
昨日の日銀総裁会見や声明文を見返すと、4月緩和の可能性は低そうだ。声明文では「不確実性」の文言が削除されるなど、日銀が下振れリスクを意識しているようには見えない。昨日夕方に行われた日銀のエコノミスト説明会にでも、日銀幹部はQQE(量的・質的金融緩和 Quantitative and Qualitative Monetary Easing)にかなり自信を持っている様子がうかがえた。
4(7)月追加緩和への地均しとして「消費税」というキーワードが声明文のリスク要因に加わる可能性に言及してきたが、実際に日銀が採った行動は逆であった。1. 消費税率引上げの影響が想定以上になる(例えば、価格転嫁が進展せずにCPIが明確に鈍化)、2. 急激な円高・株安が進行する、3. 政治的圧力が高まる、これらの何れかが現実とならない限り、日銀がアクションを起こす可能性は低そうだ。
ただ、日銀が緩和に踏み切らなくとも、それに失望した円高・株安が生じる可能性は低いとみる。グローバルリスクオンの源泉となっている米経済回復が順調であれば中長期的な円安・株高は半自動的に担保されよう。係る状況下、日銀への「失望売り」は多くの投資家にとって最適戦略とはならないだろう。