【視点】 中国に懸念もアルゼンチン問題は乗り切れそう
2014年01月27日 20:23
三菱UFJ信託銀行 資金為替部 為替グループ グループマネージャー 市河伸夫氏
中国理財商品に懸念もアルゼンチン問題は乗り切れそう、FOMCこなせば巻き戻しに
新興国リスクについては、7割程度の確率で乗り切れるとみている。アルゼンチンについては、ブラジルにまで波及するようなことがなければ問題が大きくなるとは思っていない。欧州の銀行が比較的大きな貸し出しを行っているなど気になる点はあるが、あまり影響を受けていないとの話が伝わってきている。ブラジルや欧州に混乱が波及しなければ、問題は中国の理財商品の償還だけ。中国工商銀行の数百億円規模の理財商品が不良債権化するとの見方があり、その結果次第だろう。
また、アルゼンチンの問題も、追加的な米テーパリング(緩和縮小)が100億ドル規模で進んでいくとの見方のなかで起こった問題で、新興国から資金がドルに回帰するのではないかといった潜在的な不安が背景にある。ただ、それは現時点では理屈上の不安で、顕在化するかは実際に今月テーパリングが始まらなければわからない。米・日・欧といった先進国の実体経済は悪くないので、昨年の初夏のように世界的な株安につながって、リスク回避が大きく進むことにはならないだろう。FOMCで追加的にテーパリングが行われていくことをまだ体験していないため、FOMC後、あるいは長ければ今月いっぱい調整が続くかもしれない。しかしその後は、それまでのリスク回避に対する巻き戻しが進むのではないかと思っている。