【視点】 ドル円は軟調な展開か、日米中で注目材料が目白押し
2014年02月28日 21:34
みずほ証券 金融市場調査部 シニアマーケットアナリスト 青山 昌氏
ドル円は軟調な展開か。日米中で注目材料が目白押し
来週のドル円は、軟調な展開が予想される。来週は米国で2月分のISM製造業景況指数や雇用統計などが、日本では13年10-12月期の法人企業統計が発表される。また、中国では全人代が開催される。米国の2月分の経済指標は良好な内容を期待しにくいため、ドル円は売りに押されやすいだろう。
来週の米国は注目材料が多い。3日の1月個人所得・支出は、所得は賃金動向の統計から加速が見込まれる一方、支出は小売統計から減速が予想される。1月PCEデフレーターの前年比は、前月と同程度の伸び率か。2月ISM製造業景況指数は、5つの地区連銀の同月の製造業景況指数は全て悪化する一方、Markitは大幅に改善しているため読みにくい。ただ、今年の2月は弱めの季節調整が施される見込みで、前月よりも小幅な悪化か。5日の2月ISM非製造業景況指数は、悪天候などから前月から小幅に低下しそうだ。7日の2月雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びは、悪天候に加え地区連銀の雇用指数の動きから前月比で15万人以下にとどまりそうだ。4日に上院銀行委員会でFRBのフィッシャー副議長、パウエル理事、ブレイナード理事の指名公聴会が開かれる。フィッシャー副議長、ブレイナード理事は新しいメンバーのため(パウエル理事は再指名)、その発言に注目したい。
中国では、5日に全人代が開幕される。初日に李克強首相が、GDPなどの2014年の政策目標を提示する見通し。これまでGDPの実績値は、政府目標を上回ってきたことから、政府目標は中国の成長率見通しの下限として重要な目安となる。7.5%が示されれば、市場は好感する一方、7%となれば市場は一旦リスクオフで動くだろう。また、明日1日には国家統計局による2月製造業PMIが、3日には2月非製造業PMIが発表される。リスクオン・オフを通じて、ドル円市場に影響を与える可能性があり留意したい。
日本では、3日に13年10-12月期の法人企業統計が発表される。この結果は、10日発表予定の13年10-12月期GDP改定値(速報値は前期比年率で+1%)に反映される。注目の設備投資は、前年比が前期から加速する見込み。
最近の米国の経済指標の悪化は、寒波や在庫調整が原因と見られる。今後寒波の影響は後退し、在庫調整は軽微と見られるため、春以降の指標からは米国経済の加速を確認できそうだ。しかし、その程度は不透明であり、確認するまでドル円は上値を攻めにくい。