【視点】 ドル円は底堅い展開か 米欧で重要材料が多い

2014年03月28日 19:12

みずほ証券 金融市場調査部  シニアマーケットアナリスト 青山 昌氏
 
ドル円は底堅い展開か 米欧で重要材料が多い
 
 来週のドル円は、底堅い展開を予想する。来週米欧で重要な材料が多い。4日の米3月雇用統計の市場予想は、前月比改善を見込んでいるものの、振れが大きい統計のため楽観はできない。もっとも、3日発表の米2月貿易収支で改善が期待されることや、3月FOMC以降底上げされた米2年および5年金利が、ドル円の下値を支えるだろう。
 来週の米国で重要な経済指標の発表が多い。1日の3月ISM製造業景況指数は、地区連銀やMarkitの同様の指数の動きから、前月から横這い圏内か。ISMを見通す上で、前日に発表される3月分のシカゴ購買部協会やダラス連銀の製造業景況指数を押えておきたい。3日の2月貿易収支は、ドル安や輸出の改善で3ヵ月ぶりに貿易赤字が縮小する見通し。3月ISM非製造業景況指数は、Markitの同様の指数の改善や金利安定を受け、前月から上昇するだろう。4日の3月雇用統計は、新規失業保険申請件数が改善しており、非農業部門の雇用者数の伸びは前月から加速する可能性がある。ただし、同統計は振れが大きい上、事前の期待が高まるほど裏切られることも多かった。また、8ヵ月連続で方向性が一致しているニューヨーク連銀の6ヵ月先雇用指数は悪化しており、楽観できない状況といえる。 日本の指標は、1日の日銀短観3月調査が注目される。業況判断指数は、「最近」については改善が見込まれる一方、「先行き」は消費増税を控えて低下する可能性に留意したい。また、新年度の設備投資計画は慎重さの滲む内容か。31日の2月鉱工業生産は、前月比でプラス成長が見込まれるものの、成長率は低下しそうだ。
 3日にECB理事会が予定されており、追加緩和の有無やその内容が焦点になる。その試金石となる週明け3月31日発表の3月HICPと、1日発表の2月失業率は見逃せない。このところ、投機筋の円に対する興味が停滞している。CFTCが集計する投機筋の先物建玉のポジション動向をみると、円のネットショートポジションは最新の3月18日集計分で昨年10月15日以来の水準まで落ち込んでいる。グロスポジションも10万枚台前半で低迷している。再び活況を取り戻すには、米国で経済の加速を示す経済指標が続くことに加えて、日本側でも追加緩和や骨抜きではない成長戦略が打ち出されることが必要になろう。