【視点】 ドル円、買いづらいが緩和期待が下値をサポート
2014年03月03日 21:38
楽天証券 マーケティング本部 債券事業部長 相馬勉氏
ドル円、買いづらいが緩和期待が下値サポート
消費増税を控えて3月から4月の景気の落ち込みは織り込まれており、市場は日銀の追加緩和を見込んでいる。前回の日銀会合で貸出支援の延長が決定されると日経平均が急騰したことからも、期待値の高さが伺える。実際の追加緩和の有無に関しては日銀もさることながら、今後、安倍政権が様々な問題に取り組んでいくなかで経済が盤石であることが最低限の条件となるため、景気の腰折れはなんとしても防ぎたいとの思いからやらざるを得ないというのが現状だろう。そうした意味では、ドル円はウクライナ情勢もあって買いづらい状態だが、4月以降の日銀の追加緩和を見越して期待が先行しており下値も限定的だろう。
現状はリスクオフの流れが優勢だが、その割に米株価は上値を伸ばしており全体の流れの判断は難しい。弱かった年明け以降の米経済データが、寒波の影響なのか景気回復の鈍化なのか見極めがついていないのではないか。データの弱さが単純に寒波によるものだけなら春にかけて状況は改善してくるが、対外的な不透明感もあって確信が持てていないと考える。よって、再来週のFOMCで現状を総合的に判断するのは時期尚早と思われ、金融政策面で大きな動意があるなら日銀かECBの政策次第となりそうだ。
ECBは格付け会社によるスペインの格上げや独・伊の見通し引き上げや、ユーロ圏のCPIの鈍化にやや歯止めがかかった印象があるなか、ウクライナ問題が大きくなって行動を起こしづらくなってきた。欧州だけでなく、対立の構図がNATO対ロシアにシフトしており、パラリンピックを残しながらもメインの五輪を無事に終えたロシアが強気な対応に出ていることもあり、火が付いてちょっとした騒ぎになる可能性もゼロではないため警戒したい。