【視点】 ドル円 底堅い展開か、米経済指標は悪化回避へ

2014年03月10日 06:45

みずほ証券 金融市場調査部  シニアマーケットアナリスト 青山 昌氏
 
ドル円 底堅い展開か、今週の米経済指標は悪化回避へ
 
 ドル円は、底堅い展開が予想される。今週の米経済指標はさほど悪くない見込みで、次第に底堅い展開となろう。もっとも、下値および上値の余地はどちらも乏しい公算で、総じてこれまでのレンジ内の動きにとどまりそうだ。
 今週の米国経済指標は、概ね前月から横這いないし若干の改善が見られそうだ。13日の2月小売売上高は、前月に大きく落ち込んだことや、週間の小売統計や自動車販売の動向から、反動増が見込まれる。14日の2月PPIは前月比、前年比とも前月と同程度となろう。3月ミシガン大学消費者信頼感指数は、最近の株高やブルームバーグの週間統計の改善を
参考にすると、前月から上昇しそうだ。
 なお、13日には先週から延期されていたFRBのフィッシャー副議長、パウエル理事、ブレイナード理事の指名公聴会が上院銀行委員会で開かれる。フィッシャー副議長、ブレイナード理事は新しいメンバーのため(パウエル理事は再指名)、その発言に注目したい。 
 日本の指標では、GDPや経常収支がドル円の下値を支える材料となりそうだ。10日の13年10-12月期GDP改定値は、法人企業統計での設備投資の動向から、前期比年率換算で速報値の1.0%から小幅に下方修正されそうだ。1月国際収支では、4ヵ月連続の経常赤字が見込まれる。2月景気ウォッチャー調査は、前月調査での落ち込みと2月の株価の反発基調を考慮すると、前月から若干だが上昇しよう。12日の2月CGPIは、前月比は資源価格の上昇を受け、若干加速する一方、前年比は前年同月が大きく上昇しているため、減速しそうだ。13日の1月機械受注は、前月の大幅減からの反動増が見込まれるものの、予測指数の向きが3月にかけて下向きなので、前月の水準を回復するまでには至らないだろう。 
中国では、13日に2月分の固定資産投資や小売売上高、鉱工業生産が発表される。内容次第ではリスクオン・オフを通じドル円市場に影響を与える可能性があるため留意したい。 
 リスクリバーサルやブルームバーグ消費者信頼感指数は、ドル円の下値リスク後退を示唆し始めている。しかし、数カ月のトレンド把握に優れる週次のMACDは、1月末から上値の重い展開を示唆し続けており留意したい。
 
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