【視点】 ドル円 今年は円安に動いた2006年型に
2014年03月25日 20:41

みずほ証券 金融市場調査部 シニアマーケットアナリスト 青山 昌氏
過去の米中間選挙の年の値動きを辿るドル円 今年は2006年型に
今年11月4日に米国で4年に一度の中間選挙が実施される。過去20年間の5回の中間選挙のうち4回は円高ドル安に動いている。しかし、今年は過去5回のうち一度だけ円安ドル高に動いた2006年型になると考えている。2006年は米国の連続利上げを背景としたキャリートレードブームもあり、円安牽制の中でもドル円は年を通して小幅に上昇した。2014年については2006年ほどではないにしろ、翌年の米国の利上げを織り込む形でキャリートレードが想定されうる。
2006年との相違点も、今年が例外的に円安ドル高に動く要因と考えられる。一つはわが国の貿易赤字。2006年の貿易収支は円高方向に作用していたと考えられるが、現在は貿易赤字であり円安方向に作用すると考えられる。もう一つは今年4月の消費増税。消費増税は物価上昇を通じ購買力を低下させるので、円の減価要因となる。
今後のドル円を見通す上では、米GDPの強弱を想定しておく必要があろう。米1-3月期GDP(4月30日発表)は寒波と在庫調整の影響で減速感が強まると予想される。したがって、4月末から5月は円高ドル安に動きやすいと考えられる。しかし、4-6月期以降の米GDPは特段のマイナス要因は見当たらないため、力強く加速するだろう。以上を踏まえると、今年のドル円は5月に円高に振れたが通年で円安に動いた2006年の値動きが参考になると考えられる。
