【見通し】(東京市場 為替) 日米金融政策の方向性の違い確認へ
2014年10月31日 08:00
NYタイムは、市場予想ほど減速しなかった7-9月期の米国内総生産(GDP)速報値を受けドル買いが誘われた後、いったん調整が入った。しかし、その後は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が資産構成の見直し結果を公表するとの報道で円売りが優勢に。31日にも結果が公表されると伝えられた。国内株式の資産構成を25%に引き上げるとの見通しで、市場予想の中央値24%よりもやや積極的になるという。
ドル円は6日以来の高値109.47円まで上昇した。ユーロ円が138.06円と昨日高値を上回るなど、クロス円も円安推移。ユーロドルは一時1.2545ドルまで下落幅を広げたが、1.2500ドルの壁をあらためて試すムードはなく、1.26ドル前半で値動きが落ち着いた。
東京タイムは、日銀の金融政策決定会合の結果が公表され、展望レポートが材料となろう。「米QE3終了で米出口戦略は意識されやすい。日銀展望レポートとセットで、日米金融政策の方向感の違いが改めて鮮明化する」(ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト・上野剛志氏)という。かなり織り込まれた材料だが、それをもう一度確認して、ドル高の方向性を再認識する機会になるとの見方だ。
ただ、短期投機筋がサプライズレベルの円安にベットすることも想定され、それがかえって波乱要因になる可能性はある。円相場の反応が鈍かったり、ドル円が上昇しても伸び悩んだ場面で円買い戻しを急速に進めることも考えられるため、値動きが荒っぽくなるリスクがある。しかし、そうした目先的な上下が均されれば、日米金融政策の相違をベースとしたドル高・円安基調に回帰していくだろう。