【見通し】(東京市場 為替) ユーロ、戻り高値を見極め 円は重いか
2014年06月06日 08:06
NYタイムではユーロが急落後にもち直す展開に。欧州中央銀行(ECB)が、中銀預金金利を-0.1%に設定し、主要中銀として初めてマイナス金利導入を決めたほか、主要政策金利のリファイナンス金利を0.15%に引き下げたことで、ユーロ売りが先行。ユーロドルは4カ月ぶりの安値となる1.3503ドルまで低下し、ユーロ円は138.68円まで下げた。ECBは、そのほか「的を絞った長期資金供給オペ(LTRO)」、「オペでの全額資金供給を延長、証券市場プログラム(SMP)の不胎化措置を停止」など複数の緩和策実施を決めた。ただ、大量の金融資産購入には踏み切らなかったことでその後はユーロ買い戻しが進み、ユーロドルは1.3670ドル、ユーロ円は139.99円まで反発した。
ドル円は上値の重い展開だった。ユーロ上昇に伴うドル安や米長期金利の低下などが重しとなり102.34円まで下げた。ただ、株高に伴う投資家のリスク許容度改善を通じてクロス円が堅調だったことから下値は限られた。
東京タイムでは、ユーロがどこまで戻すのかを見極める展開となるだろう。ECBは大胆な金融緩和策を打ち出したものの、ユーロを押し下げるには不十分との見方から買い戻しの流れを強めている。ただ、ECBは資産担保証券(ABS)購入に向けた準備を進めるとしており、非伝統的措置の開始が今後意識されれば、ユーロの上値が再び重くなる可能性は十分に考えられる。直近の流れが一巡後も、ユーロの買い戻しが継続するかは不明だ。また、今週最後のイベントとなる米5月雇用統計への期待感も、ユーロ買いの勢いを弱める可能性はある。非農業部門雇用者数の市場予想は+21.5万人と、4カ月連続で20万人を超える見通し。欧米の経済・金融政策のコントラストが意識されて、ユーロの頭が抑えられてもおかしくはない。
一方で、円は上値の重い展開か。ドル円は、欧州各国の金利低下につれて米債利回りも下げたことから上値が重くなっている。しかし、「本邦生保がヘッジなしの外債購入拡大へ」とのニュースや、「首相が年金運用見直しを秋口へ前倒しする意向」などの報道が伝わる中で、円買いは強まりにくい。また、金融市場で株高・債券高が鮮明となり、過剰流動性相場の様相を呈してきたことも踏まえれば、円の一段高は期待しづらいだろう。目先は、各通貨の持高調整や足元の値動きの反動から、円が買われる局面は想定されるが、本邦の経済政策などで円の上昇幅は限られそうだ。