NY為替概況 弱い米雇用統計でドルは失望売り
6日のNY市場はドル売りが強まった。この日発表になった米雇用統計が弱い内容となったことで、ドルに失望売りが強まった。今月のFOMCでのQE縮小開始期待が大きく後退した格好。
米雇用統計だけは開いてみないと分からないということを、まざまざと見せつけられている。今回の非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回ったことはもちろんだが、それ以上に、前回分が5.8万人も下方修正されており、さすがに失望感は否めない。一方、失業率は7.3%に改善し、FRBの経済見通しの範囲内に入って来ているが、労働参加率が63.2%と78年8月以来の水準に低下していることは気掛かりである。シリア情勢への不透明感もある中、今回の米雇用統計は、FRBが今月のFOMCでQE縮小に動く可能性を著しく後退させている。
前日は期待感が高まり、米10年債利回りも3%台まで上昇していたが、きょうは一時2.86%台まで低下。それに歩調を合わせてドル円も一時98円台半ばまで下落した。
一方、ユーロドルは買いが強まり、1.31台後半まで上昇しているが、1.32台には慎重といった雰囲気が強い。オバマ米大統領がシリアへの軍事介入に執念を見せており、10日には国民向けに演説も実施するとしている。有事のドル買いのシナリオも想定されているようだ。また、この日発表になった7月のドイツ鉱工業生産が、前日の製造業受注に引き続き、予想を大きく下回る弱い内容となったこともユーロを圧迫。このところのユーロ圏の指標は回復の兆しが出ていることもあり、少し気掛かりな内容ではある。米雇用統計が失望的な内容だったからと言って、ユーロを積極的に買い戻す機運までは高まらなかったようだ。