NY為替概況 雇用にFRB議長は依然慎重

2014年05月08日 06:13

為替市場では、円が売られる場面はあったが流れは弱い。ドル円は米雇用統計後の短期下降トレンドラインを一時上抜き102円台を回復したものの、イエレンFRB議長の証言からゼロ金利政策の長期化が意識され上値は重かった。
 合同経済委員会における証言でイエレンFRB議長は「満足できる状況からほど遠く、労働市場には多くのたるみが残されている」、「高水準の緩和は依然正当化される」とした。先週末の米雇用統計を受けても雇用に対する認識に変化は見られない。第1四半期の米GDPの急減速については一時的なものであるとしている。消費や生産の強さについても言及。米住宅市場の弱さには一定の警戒感を払った。
 利上げ時期に関しては「QE終了後、金利正常化にかなりの時間がかかる」とし、「利上げ開始に特定のタイムラインや機械的な形式はない」と発言。「超過準備預金金利(IOER)は重要な政策手段」であり、「超過準備に対する付利は利上げ後に引き上げる」としている。
 証言内容から今後の米金融政策は見通せず、利上げ開始時期に関する言質は与えられなかった。これまで通りの認識が示されたに過ぎないが、米経済の動向と照らして証言内容は依然慎重で、金融政策見通しを反映しやすい米2年債では買いが強まった。
 ドル円は102.02円まで強含んだ後に伸び悩み。ユーロ円は142.00円、ポンド円は172.98円まで切り返した後、いずれも失速している。豪ドル円は95円ちょうど前後、NZドル円は88円前半で戻りが抑えられている。
 ユーロドルは1.39ドル前半、ポンドドルは1.69ドル半ばを中心に推移し、方向感はなかった。豪ドル/ドルは0.9319ドルまで下押したが、下値は限定的。ドル/加ドルは1.0900加ドルちょうどを挟んでもみ合い。