NY為替概況 乱高下 ドル円は一時117円台

2014年12月10日 07:17

NYタイムでは、蓄積されていた円売りやドル買いポジションがロンドンのフィキシングにかけて急速に巻き戻された。アジア市場から続いていた、関連市場のリスクオフムードが米株安・債券高(利回り低下)によって加速したことがきっかけ。チキンレースの雰囲気もあった相場展開のなかで、年末に向け利益確定のタイミングを見計らっていた参加者らが一斉に動きを速めた様子も見受けられた。中国当局によるレポ取引への規制強化や、ギリシャの政情不安もネガティブな材料と捉えられ、それなりに好感される内容だった米経済指標は見向きもされなかった。10月の米求人労働異動調査(JOLTS)では、求人件数が8月につけた13年ぶりの高水準に迫るなど、労働市場の改善が加速している兆候もあった。
 
ドル円はストップロスの売りを次々と巻き込みながら一時117.90円まで下げが加速。2日間で高値から4円ほど下押した。ユーロ円は146.80円、ポンド円は185.20円、スイスフラン(CHF)円は122.17円、豪ドル円は98.56円、NZドル円は91.40円、加ドル円は103.47円まで大きく日通しの安値を更新した。ただ切り返しにも相応のスピードがあり、関連市場のリスクオフ傾向が緩むとドル円は終盤にかけて119円後半まで持ち直すなど乱高下。週末の衆院選で、自公が3分の2以上の議席を確保する見通しと一部が伝えたことも、円売り意欲の盛り返しに寄与したとの声があった。クロス円も安値から離れる展開となり、総じて陰線引けながら長い下ヒゲを形成して底堅さも示した。
 
ドル高に対する修正も強まり、ユーロドルは1.2448ドルまで上値を拡大。ポンドドルは1.5717ドル、豪ドル/ドルは0.8372ドル、NZドル/ドルは0.7762ドル、ドル/CHFは0.9654CHF、ドル/加ドルは1.1398加ドルまで対ドルで急伸する場面があった。しかし、円相場と同様に取引一巡後は流れが反転。ユーロはプラートECB理事が、インフレが一時的にマイナスにおちいる可能性を指摘し、必要に応じて追加の緩和措置を実施する用意があると述べたことも嫌気されて1.23ドル半ばまで上げ幅を縮小させた。ポンドドルや豪ドル/ドルもこの日の上昇幅をほとんど吐き出している。