NY為替概況 ユーロ売り先行も、次第にドル売りに転換

2014年06月06日 07:00

NYタイムは、欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定や、ドラギECB総裁の発言を材料に、ユーロが動意した。ECBは主要政策金利ならびに上限金利・下限金利を引き下げた。ECB総裁が会見で、今後も必要に応じて量的緩和など追加的な措置を講じる姿勢を示したことも、ユーロ売りを先行させた。会見では「ECBは複数の措置を決定」、「追加措置のなかには、的を絞ったLTROが含まれる」、「オペでの全額資金供給を延長、SMPの不胎化措置を停止」などの発言が聞かれた。ユーロドルは一時1.3503ドル、ユーロ円は138.68円まで急落した。もっとも、イベント通過でユーロ買い戻しが進み始めると、ユーロドルは下落幅を帳消しにしただけにとどまらず、5月22日以来の高値1.3670ドルまで上値を伸ばした。ユーロ円も一時139.99円と、同14日以来、約3週間ぶりの140円台回復目前となった。ポンドは対ドル・対円ではユーロの上下に連動し、ポンドドルは1.6723ドルまで下押し後、1.6825ドルまで上昇し、ポンド円は171.60円台から172.32円まで上昇した。英金融政策委員会(MPC)は政策金利を市場予想通りに据え置き、サプライズはなかった。
 ドル円は、ユーロ主体の相場つきのなか、対ユーロでのドルの強弱や、米長期金利の上下をにらんで推移した。ECBの政策発表後にユーロ売り・ドル買いが先行した局面では、ドル円は朝方からのレンジ上限102.76円に近づいた。米10年債利回りが2.64%台まで上昇したこともドル円を支援。だが、米金利上昇・ドル高の流れが反転し、米長期金利は2.57%まで低下。欧州債利回り低下に触発され、利回り低下をにらんで構築したポジションが溜まっていた米債は買い戻され、NYタイムはむしろ米金利低下を背景としたドル売りが強まった。ユーロの持ち直しと入れ替わるように、ドル円は102.34円まで下落した。
 オセアニア通貨は底堅かった。対ユーロでの買いが支えとなり、上昇に弾みをつけるきっかけとなったユーロ下落局面だけではなく、ユーロの持ち直し場面でも上昇を続けた。ECBのマイナス金利導入を含む追加緩和は、リスク回避後退を連想させ、資源国通貨の買いを誘った。豪ドル/ドルは0.9347ドル、NZドル/ドルは0.8513ドルまで上昇。豪ドル円は95.70円まで、NZドル円も87円台を回復し一時87.16円と底堅かった。
 加ドルは、弱い加5月Ivey購買部景況指数(結果48.2、予想56.0、前回発表値54.1)の発表後、対ドルで一時1.0961加ドルまで、加ドル円は93.45円まで加ドル安推移となった。ただ、オセアニア通貨など、他の資源国通貨の底堅く推移していたこともあって、その後はそれぞれ1.0920加ドル近辺、93.70円台まで加ドル買い戻しとなった。