NY為替概況 ユーロ全面安、ドラギマジックに虚しさも

2014年05月09日 06:28

為替市場では、ユーロが売られた。政策金利を据え置いたECB理事会後の会見でドラギ総裁が「必要なら6月の会合で行動することは容易である」と述べたことがきっかけ。会見開始当初はユーロ安につながるような発言がなかったことでユーロ買いが強まり、ユーロドルは年初来高値を更新したが、急反落する格好となった。6月はECBのスタッフ予想が公表される予定であり、これに沿って追加緩和を検討するようだ。
 ただ、国債購入を軸とした十分な規模の量的緩和(QE)が6月に決定されるとは考えにくい。今回の会見でQEの枠組みに関する具体的な言及はなく、追加緩和策の内容は曖昧だ。マイナス金利政策が論外だとすると有効なカードはなく、今回もドラギマジックの範疇といえる。来月も追加緩和策が決定されず、口先だけでやり過ごそうとするならECBに対する不信感はつのるが、オオカミ少年として認識されるリスクはユーロ高に頭を悩ますECBにとって相応の価値があるかもしれない。
 ユーロドルは1.3833ドル、ユーロ円は140.53円まで下げた。ユーロドルは21日移動平均線がサポートとなっているものの、ユーロ円は昨年4月以降の上昇トレンドラインを下抜け1円超の下げ幅となった。その他の通貨に対してもユーロは全面安。
 ドル円は101.47円まで弱含み。堅調だった米株式市場が失速したことに加えて、ユーロ円の下げがきつく、ドル円の重しとなった。ポンド円は171.87円、NZドル円は87.68円まで軟化。豪ドル円は95.10円付近まで押し戻され、東京タイム以降の上げ幅を削った。加ドル円は93.94円まで逆行高。
 ポンドドルは1.6924ドルまで下押した。ユーロ安・ドル高が重し。豪ドル/ドルは0.93ドル後半で本日これまでの高値圏を維持。NZドル/ドルは0.8626ドルまで軟化した後、0.86ドル半ばへと切り返している。ドル/加ドルは1.0815加ドルまで加ドル買いが続いた。