NY為替概況 イエレン発言受けてドル高も勢いは限定的

2014年08月23日 06:41

NY為替市場はドル買いに傾いた。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長のジャクソンホールでの講演が手がかり。ドル円は104.20円まで上昇し1月以来の高値をつけたが、104円台での滞空時間は限定的。
 
ユーロドルは1.3220ドルまで下げ年初来安値を更新。ロシアからウクライナ国境内に向けて人道支援物資をのせたトラックが未許可のまま侵入したとの報道もユーロの重し。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は講演で追加緩和の用意があると述べたが、資産担保証券(ABS)や国債などを対象とした量的緩和に踏み込むのか具体的な言及を引き続き避けた。6月にECBが決定した金融緩和策の効果に自信を見せたことでユーロに買い戻しが入ったものの、上値は抑えられた。
 
ポンドドルは1.6562ドル、豪ドル/ドルは0.9293ドル、NZドル/ドルは0.8381ドルまでドル高推移したが、ドル高に勢いはなかった。
 
イエレンFRB議長は「2つの責務の達成は早期の利上げにつながる可能性」があると述べた。利上げ開始時期に関しては弱い賃金の伸びを中心に判断しないことを示唆したといえる。「FOMCは労働力の活用が極端に低いと認識」、「雇用増加のなかでも労働市場は完全に回復していない」とし、従来のハト派なコメントを繰り返している部分は多く、「FOMCの関心は雇用のたるみの水準に移行している」としたが、労働市場のたるみを客観的に測定することの困難さも認めた。この曖昧なたるみというコンセプトをもって市場との対話は図りづらく、妥当な利上げ開始時期にめどがつけられないなら、超緩和的な金融政策継続の根拠は揺らぐ。賃金の伸びの弱さを強調する頑ななハト派色はやや後退した印象だ。
 
クロス円の一角はドル円につれて高値更新。ポンド円は172.63円、加ドル円は95.07円、豪ドル円は96.87円、NZドル円は87.52円まで強含んだ。ユーロ円は138円ちょうど付近に接近する場面はあったが、137円半ばへと押し戻された。米株価指数は高安まちまち。米長期債利回りは上昇後に失速している。
 
 
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