東京市場 午前概況 緩和期待盛り上がらず、ドル円は昨日安値に並ぶ

2014年05月29日 12:22

東京タイム午前の為替市場は、株価の安寄りや日銀審議委員の発言が追加緩和観測を強める結果につながらなかったことから、円買いが優勢だった。日経平均株価は前日比85円安で寄り付いた後、下落幅を縮小して7円安で前場を引けた。株安によるリスク回避の円買いが大きく進む流れではなかったが、白井日銀審議委員の発言が伝わった後に円買いが強まり、ドル円は101.64円まで水準を下げた。ただ、昨日安値に並んだ同水準で下落の勢いはいったん落ち着いている。白井日銀審議委員は「(物価)2%を安定的に持続する成長経路へと移行していく時期については不確実」と述べたものの、追加緩和期待の高まりにはつながらなかった。むしろ、同委員があわせて「見通し期間の終盤にかけて2%に達している可能性が高い」との見通しにも言及したことが、緩和期待の後退につながったことが考えられる。クロス円も円買い優勢で、ユーロ円は昨日の水準を下回る138.22円まで、ポンド円は169.97円、スイスフラン円は113.20円まで下落した。
 豪ドルは、豪1-3月期民間設備投資の発表後に上下。同指標が前期比-4.2%となり、市場予想の-1.5%を大きく下回った後、豪ドル/ドルは0.9211ドル、豪ドル円は93.70円まで売られた。しかしマイナスが続くとの予想から事前に警戒感が高まっていたこともあり、安値をつけた後は出尽くし感による買いが優勢。豪ドル/ドルは一時0.9287ドル、円買い押されていた豪ドル円も94.42円と、むしろ上値を伸ばした。豪ドル/ドルの0.9210ドルに厚めの買い、0.9200ドルにオプションの・バリアが観測されており、オーダー状況も豪ドルの支えとなった。一方でNZドル/ドルは0.84ドル後半、NZドル円は3月6日以来の安値86.17円をつけるなど軟調。主要通貨で最も下落幅を大きかった昨日来の流れを引き継いでいる。
 ユーロドルは1.36ドルを挟んで上下。1.3592ドルまでじり安となったが、ドル円が101.60円台で安値もみ合いを続けるなか、ユーロ円が下げ渋ったこともあって1.36ドル台を回復。しかし安値もみ合いの域を脱していない。ポンドドルは1.67ドル前半レンジで推移した。
 午後も、昨日の海外市場からの調整地合いが続くか。ドル円は101円後半レンジで戻りの鈍い展開が継続しそうだ。昨日安値101.64円で下げ渋ったが、徐々に参入してくる欧州勢が東京タイムに盛り返した円買いの流れを推し進める可能性も捨てきれない。ただ、今夜に米1-3月期GDP・改定値、来週に米雇用統計を控えて様子見ムードを強めていくなか、取引が手控えられることも考えられる。