東京市場 午前概況 リスクオフ一辺倒 イラク情勢懸念で円高・株安

2014年08月08日 12:01

東京午前はオバマ米大統領がイラクへの空爆を承認したことが伝わり、リスクオフが優勢となった。米大統領は地上部隊の派兵は行わないとしながらも、虐殺阻止と米国民保護といった人道支援を目的とした攻撃の実施を表明。前日来の地政学的リスクの高まりで売られていた日経平均は、報道を受けて450円を超える下げを示現。時間外の米長期金利は2.40%の大台を割り込むなど金融市場全体でリスク回避傾向が顕著になった。ドル円は101.58円まで下落して直近安値を更新。ユーロ円は昨年11月以来の安値となる135.73円を示現し、ポンド円は170.78円、NZドル円は85.75円、加ドル円は92.85円まで一段安となった。朝方に発表された6月国際収支で、経常収支が5カ月ぶりの赤字に転じたことや、上期の赤字が統計開始以来で最大の赤字となったことはすでに織り込まれており材料視されていない。
 
円高に加えてドルも強含みの展開。リスクオフを主軸としたドルへの資金回帰や、ドラギECB総裁が欧米の金融政策の方向性が明確であること強調したことで、ユーロのみならず米国の対主要国でのファンダメンタルズ面も含めた優位性が意識されている可能性もあった。ユーロドルは1.3344ドル、ポンドドルは1.6802ドル、NZドル/ドルは0.8432ドルまで対ドルでレンジ下限を広げた。豪ドル/ドルは0.9240ドルまで下落。豪準備銀行(RBA)四半期金融政策報告で慎重な金融政策の維持を改めて表明し、2015年の成長・インフレ見通しを引き下げたことが背景。最近の商品価格の下落を考慮すれば豪ドルはなお割高との認識も示している。豪6月住宅ローン貸出が市場予想の伸びに届かなかったことも嫌気され、豪ドル円は円高も重しに93.93円まで下落した。
 
この後は中国貿易収支や日銀金融政策決定会合の結果発表があるが、足元の地政学的リスクの高まりを背景にした円高・株安地合いが引き継がれることになりそう。特に週末を控えてポジションの修正も進みやすく、ドル円やクロス円の一段安にも警戒したい。
 
 
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