【視点】 GDP悪化もFRBは市場の期待うまくマネジメント

2014年05月01日 20:40

みずほ総合研究所 市場調査部 シニアエコノミスト 小野亮氏
 
FRBは期待をうまくマネジメント、米雇用統計では緩やかな回復確認へ
 
 米GDPの悪化は、景気が減速し所得が増えなかったことを示しており、それ自体は大変なこと。例えば住宅販売が悪く、手数料収入が減少したと思われ、様々な面で大寒波の影響が大きく出ていた。ただ、それ以外の要因は考えにくく、FRBとしても月次の指標やマインド・業況指数を見る限り、先行きに大きな懸念はないと判断しているようだ。今夜も月次の消費支出の数字が出てくる。寒波の際は、エネルギー需要が消費を支えていた面もあったようだ。
 弱いGDPの後を受け、FOMCの声明文で、もし慎重姿勢が示されていたら、寒波以外に懸念材料があるのではないかと疑念を呼びかねなかった。しかし中国やウクライナ・ロシアなど海外の問題はあるが、米経済の先行きが下ぶれしそうなリスクまでに至っていないことを声明で確認し、いったん消化しきった。市場の期待をうまくマネジメントできている。
 3月にはイエレンFRB議長のタカ派的なコメントがいったん材料視された。だがすでに、講演などを通じ修正も図っている。雇用を考慮し、利上げはそれほど急がないとの姿勢を市場に織り込ませた。経済もFRBも適切なポジションに位置している。
 米雇用統計については、雇用者が20万人程度の増加と、堅調な数字になるとみている。アップサイドもダウンサイドも振れはそれほど大きくないと思う。落ち着きそうなときに限って、何が起こったかわからなくなるような振れが生じることも多いだけに予断は許さないが、基本的に金利の急上昇を招くようなこともなく、定常状態で緩やかな回復基調にあることを確認する内容になると思っている。