【視点】 ファンダメンタルズに沿い日本株上昇、為替は円売り

2014年04月16日 20:35

SMBC日興証券 金融市場調査部 シニアマーケットエコノミスト 嶋津洋樹氏
 
経済指標は悪くない、実勢ベースへの回帰で日本株は上昇し為替は円売りに
 
 昨日の米国市場では、米企業の決算は良かったものの、ウクライナ情勢が圧迫材料となって株式市場の勢いが削がれた。一方で安全資産の債券は買われている。しかし日本株は堅調だった。上昇要因は諸説あるが、ファンダメンタルズがそれほど悪くないのに売られていたことへの反動も大きいようだ。
 特に米株への連動という点からすると、NASDAQのハイテク・バイオ株が大きく売られていたなか、他の米株価指数の下落はNASDAQほどではなかったのに、日本株はNASDAQに連動するように売られていた。上昇に転じたきっかけが黒田日銀総裁の発言なのか、中国GDPなのか、あるいは麻生財務相の発言なのかはっきりはしないが、米株への売りが一巡している状況もあって、日本株も素直に買いで反応しやすかったのだろう。
 ファンダメンタルズは悪くなく、むしろ改善していたが、ウクライナほか外部環境の不透明さを受けて、なんとなく質への逃避でリスクオフになっていた。それに修正が入ったと認識している。述べたとおり経済指標も悪くないので、修正の流れが維持され、ウクライナへの懸念などによるリスクオフの場面を挟みながらも、日本株が実勢ベースに戻って上昇し、為替が円売りで反応する展開が進むと考えるのが最もリーズナブルなシナリオだと思う。