【視点】 ドル円は上値の重い展開か、2月分の経済指標に注目
2014年02月14日 17:39
みずほ証券 金融市場調査部 シニアマーケットアナリスト 青山 昌氏
ドル円は上値の重い展開か、2月分の経済指標に注目
来週のドル円は上値の重い展開が見込まれる。来週から米欧中で2月分の景況感の指標の発表が始まる。1月分の経済指標は総じて不調であり、その流れが継続する可能性に留意したい。もっとも、下値では押し目買いが見込まれるため、下振れは限定されそうだ。
来週の米国経済指標は、今週に引き続き米国景気の減速感を示す可能性がある。18日の2月NAHB住宅市場指数は、悪天候や着工許可件数の低下から、前月から若干だが低下するだろう。19日の1月住宅着工件数は、先行指標となる建設許可件数の動向から、前月比で低下する見通し。19日の1月PPI、20日の1月CPIは、原油や為替の動向から、前月比の伸び率は減速することが見込まれ、引き続き低インフレの継続が示されそうだ。18日のニューヨーク連銀、および20日のフィラデルフィア連銀とMarkitの2月分の製造業景況指数は、横這いないし低下が見込まれる。21日の1月中古住宅販売件数は、先行指標とされる同成約指数が大きく落ち込んでおり、前月比で低下しそうだ。
なお、18日には欧州で2月ZEW景況指数が、20日には中国で2月製造業PMI(民間統計)が発表されるので注目しておきたい。また、22-23日に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議では、不安定な新興国通貨も議題に含まれるだろう。
日本では、GDPと貿易統計が注目材料。17日の13年10-12月期GDPは、前期から成長率の加速が見込まれるものの、3%弱にとどまりそうで、米国の同時期の成長率(3.2%)を下回る可能性がある。20日の1月貿易収支は、上中旬の動向から、原数値、季節調整済みとも前月から赤字額が拡大しそうだ。日本の材料はドル円の下値を支える要因になろう。
1月下旬から2月上旬にドル円が大幅下落した要因の一つには、米国の経済指標が大きく減速したことがあった。その原因には、記録的な寒波のほか、在庫の積み上がりがあるとみられ、米景気が再加速に至るには思いのほか時間がかかりそうだ。数ヶ月のトレンド把握に優れる週次のMACDは、2週間前から売りサインを出しており、経験則上これは2カ月以上続く可能性がある。ドル円が上昇基調に復帰するには時間を要すると見ておきたい。