【見通し】(東京市場 為替) 株高で円の上値は重いか、豪貿易統計には注意
2014年06月05日 08:00
NYタイムはドルが底堅く推移。米国経済の力強さが増していることを示唆する指標結果を受けてドルは買われた。米5月ISM非製造業景況指数は56.3と約9カ月ぶりの高水準をつけて、異例の寒波の影響から経済が立ち直り始めている兆しが示された。また、地区連銀経済報告(ベージュブック)では、12地区すべてで経済活動が「控えめから緩やかに(modest to moderate)に拡大」とされ、前回から景気判断が上を向いた。ドル円は、予想比弱めの米ADP全国雇用者数を受けてつけた102.44円を安値に102円後半へもち直した。一方で、ユーロドルは1.3639ドルを高値に1.3596ドルまで反落した。また関連市場では、米長期金利が先月14日以来の2.6%台を回復し、S&P500は最高値を更新した。
東京タイムでも、欧米の経済・金融政策のコントラストを背景として、ドルは底堅さを維持するだろう。また円に関しても、本邦のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針の見直しや、法人減税措置の進展によるアベノミクス相場再燃への期待で、円高に振れる素地は限られている。こうした点や、堅調な株式市場の動向を踏まえれば、ドル円・クロス円は足元の高値水準での推移が予想される。
波乱要因があるとすれば、豪貿易統計となる。今回は、これまでの好調だった流れを引き継いで黒字を確保する見込み。ただ、鉄鉱石価格の下落によって黒字幅縮小が今後予想される中で、その一端がうかがえるかどうかが注目される。先行きに対する不安が強まるようなら、豪ドル円中心に円買い戻しが進む場面はあるかもしれない。とはいえ、欧州タイムに欧州中央銀行(ECB)理事会の結果公表を控える中で、大きくポジションを傾けるような状況にはなく、取引が進むに連れて徐々に模様眺めムードが広がるだろう。