【見通し】(東京市場 為替) ドル底堅い、中国貿易統計でドル円が上下も

2015年02月09日 08:00

先週末の為替市場は強い米雇用統計を受け、ドル高・円安が進んだ。ドル円は、米長期金利の上昇を後押しに1月12日以来の高値119.23円まで上昇。クロス円では、ユーロ円が135.19円、ポンド円が181.81円、スイスフラン円が129.09円、豪ドル円が93.11円、NZドル円が87.83円、加ドル円が95.53円まで水準を上げた。かたやユーロドルは、ウクライナ情勢の混迷や、ギリシャ債務処理の先行き不透明感もあって、1.1312ドルまで下落した。週明けには1.13ドル割れまで下押す場面もあった。米1月非農業部門雇用者は、+25.7万人と市場予想+22.8万を上回り、前月分も+25.2万人から+32.9万人に上方修正されたうえ、平均時給は市場予想の+0.3%を上回る+0.5%となった。
 
足元、ぱっとしない米経済指標が続いたため、米国の利上げ時期が後ずれするとの観測がくすぶっていたが、1月の雇用統計がこうした見方を打ち消す格好となった。米金利も上昇しており、日米の金利差拡大への見通しから、ドル円は底堅い展開が続くだろう。昨年高値121.86円を起点とする下降トレンドラインを上抜けしたことで、上方向が軽くなったことも、前向きな期待を強めている。119.25円付近の日足一目均衡表・雲の上限を明確に上抜ければ、上昇に弾みがつきそうである。
 
ただ、中国の貿易統計への反応には注意が必要。中国貿易統計では、黒字幅は過去最大に拡大したが、輸出入は揃って減少するなど、中国や世界の経済成長に対する不透明感は払しょくされていない。こうした点に焦点が集まるようなら、交易関係の結びつきが強いオセアニアへの懸念が強まる可能性がある。豪ドルやNZドルの動向を通じて、ドル円の方向性が見極めづらくなることもありうる。