【見通し】 ユーロ、中長期的な見方に変化なし
2014年05月23日 17:37
楽天証券 マーケティング本部 債券事業部長 相馬勉氏
ユーロ、中長期的な見方に変化なし
来月の欧州中央銀行(ECB)理事会を前に、ユーロは思った以上に売られた印象がある。恐らく、市場は単なる利下げなどの小手先の対応ではなく、一定規模の量的緩和(QE)などで、流動性を供給する措置を決定すると見越しているのではないか。
とは言え、ユーロの中長期的な上昇トレンドが変化したとは予想していない。恐らく時間的・制度的な問題もあり、1発で市場を黙らせるような、相応のインパクトのある量的緩和が実施される可能性は低いだろう。また、域内の高水準の失業率も考慮すれば、賃金上昇率の停滞なども重しとなってインフレ率の上昇は想定しにくい。経常黒字の常態化など、構造的な問題を徐々に時間をかけてほぐしていかないことには、ユーロはどの材料をとっても買う以外の手が見当たらないのが現状だと思う。
仮にECB理事会を終え、思惑通りにユーロが反発に転じれば、再び1.40ドルの攻防が注目される。ドラギ総裁が前回の理事会後の会見で、通貨高への懸念と次回会合での緩和実施を表明する直前のレベルだ。市場もECBにとって、1.40ドルは一段の通貨高を抑制する防衛線だとも捉えている。ただ、いったん上回ってしまえば、再びユーロ高トレンドが意識され、機関投資家などからの買いも入ってくるだろう。