本日の見通し(為替) 海外タイムの材料を受けた本邦勢の反応に注目
昨日のNYタイムは、強い米8月ISM製造業景況指数を好感しドル買いが先行したものの、シリアへの米軍事介入が現実味を帯びてきたことでやや巻き戻しも入った。強い米8月ISM製造業景況指数の発表後、ドル円は一時99.86円まで上昇。一方でユーロドルは1.3138ドル、ポンドドルは1.5522ドルまで下落した。米ISM製造業景況指数は55.7となり、市場予想の54.0、前月の55.4を上回り、2011年6月以来の高水準となった。内訳では、新規受注が大幅に伸びたうえ、雇用指数は前回を下回ったが、強弱の分かれ目である50を上回る水準を維持した。ただ、その後はベイナー米下院議長がシリアへの米軍事介入を支持し、ペロシ米民主党下院院内総務もシリアへの対応が国益になると発言。シリア情勢の緊迫化に市場は米債利回りの上げ幅縮小や対円・対欧州通貨でのドル売りで反応し、ドル円は99円前半まで一時反落、ユーロドルは1.31ドル後半、ポンドドルは1.55ドル後半へ持ち直した。
本日の東京タイムは昨日の海外タイムの動きに対する本邦勢の反応に注目。米8月ISM製造業景況指数は市場予想を大きく上回ったことで米量的緩和(QE)縮小への見方からドル買いが入ったが、9日の米議会再開を前にシリアへの軍事介入が現実味を帯びてきたことはリスク材料で円高要因となっている。ドル円は上昇幅を広げたものの節目である100円の大台を突破できず足踏み状態。本邦証券筋からは「テクニカル面では非常に強いものの、節目となる100円に迫ると売りも入りやすい」との声が聞かれているほか、別の市場筋も「100円の大台に乗せて週末の米雇用統計を迎えるのはリスクがある」との見解を示しており、今週も半ばを迎え週末の米雇用統計がよりいっそう意識されやすくなるなかで、100円の大台に乗せて同指標を迎えるのか否かは市場関係者も意識していることから注目すべきポイントとなりそうだ。
そのほか、東京タイムでは中国8月HSBCサービス業PMIならびに豪4-6月期GDPの発表を控えている。昨日の豪準備銀行(RBA)理事会においては金融政策は据え置き、声明文も改めてハト派色を示唆するといった内容でもなく新たな材料にも欠けたとあって、RBA理事会後というタイミングではあるが、RBAの金融政策の方向性を見極める上でも注目しておきたいところ。ただし、前述した通り週末の米雇用統計を見据えた動きとなるなかにおいては、豪州・中国経済指標で豪ドルが動意づいたとしても一過性のものにとどまる可能性もある点には注意したい。