本日の見通し(為替) シリア情勢への警戒感強い、急なリスク回避に警戒
昨日のNYタイムは欧州タイムからのドル売りが継続。先週末の米雇用統計の弱い内容を受けた地合いが蒸し返された。シリア関連については、科学兵器を国際管理下に置くようにロシアが要請して、シリアも提案を歓迎とのニュースも伝わったが、再開した米議会では軍事介入に関する決議案が審議されており、不透明感は払拭しきれていない。ウイリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁から「2015年第2四半期までFRBは利上げしないと予想」などの発言も聞かれたが、差し当たりの注目事項である量的緩和縮小の開始時期への具体的な言及がなかったことや同氏が投票権を持っていないこともあり、為替相場に目立った反応は見られなかった。
本日の東京タイム、昨日の海外タイムのシリア情勢への懸念が尾を引くか。昨日のNYタイムは米議会も再開されシリア攻撃への決議案が本会議にかけられるなど、先週末に米雇用統計を通過したことで、シリア情勢を巡る懸念が再び浮上するなかでドル売りに傾斜したが、こうした動きが東京タイムも継続するか否か注目していきたい。本邦証券筋は「『有事のドル買い』との言葉があるが、米国自身が当事者となる場合は必ずしもドル買いにはならない」との見解を示しているように、リスク回避的に円やスイスフラン(CHF)への買いが高まる可能性もゼロではない。ただし、ロシア外相がシリアに対し化学兵器の放棄を要請し、オバマ米大統領も「シリアに対するロシアの提案、良い方向に進む可能性」と述べていることから、こうした複数の材料に市場がどのような反応を示すかが焦点となるか。
そのほか、本日の材料としては東京タイム午後に入ってからではあるが中国の経済指標が複数予定されている。直近発表された中国経済指標は軒並み市場予想を上回る好結果となっており、景気減速への懸念が高まっていた中国経済に対する見方に変化が出てきていることから、本日もそういった内容を裏付けられるか注目される。仮にこれまでと同様に好調な結果が示されれば交易関係で中国とつながりの強い豪州に対するポジティブな見方につながり、豪ドルの上昇に寄与することになるだろう。
最後に、東京五輪開催で大幅高となった昨日の日経平均をはじめとした本邦株式だったが、大幅上昇の反動といったところで反落することとなれば、昨日の東京タイムは株主導で円安を誘発していただけに、ドル円・クロス円は上値が重くなり下押す展開も想定される。